雑記帳

会社辞めた。どうすればいい?—その②(住民税、雇用保険、その他編)

今回の記事は、前記事「会社辞めた。どうすればいい?—その①(健康保険、年金編)」の続きになります。各種手続きの解説となる関係上、1記事だと長くなってしまうので、2つの記事に分けて掲載しました。

住民税

まずは、住民税に関する手続きについて説明します。

住民税とは、前年度の所得に応じた都道府県民税と市民税の2つを合わせたものです。

勤め人であれば、源泉徴収時に所得税とともに徴収されていたので、住民税についてあまり深く考えることはありませんでしたが、退職して、その存在をひしひしと感じることになります。

徴収方法

普通徴収

住民が自ら住民税を納付する方法です。

これに対し、勤務先で給与から天引き(源泉徴収)して市町村に納付することを「特別徴収」といいます。

勤め人にとっては、特別徴収が当然でしたが、制度上は普通徴収が原則となります。従って、退職後、この普通徴収で住民税を納付するのが原則となります。

一括徴収

これに対し、退職時に未徴収の住民税額を最終に支給される給与で徴収することもできます(勤務先から市町村に納付される)。これを一括徴収と言います。

勤務先で納付手続きをしてくれるので、こちらを選ぶ方が楽ではあります。

特別徴収の継続

なお、退職後に就職が決まっている場合には、新たな勤務先で引き続き給与から天引きして市町村に納付することになります。

退職時期による手続きの相違

退職後の勤務先が決まっていない場合、退職時期により住民税の納付方法に違いが生じます。

6月1日~12月31日に退職した場合

原則的には、退職月の住民税は給与から天引きで徴収してもらい、退職月以降に残っている住民税を普通徴収に切り替えて納税することになります。

ただし、希望すれば、退職月から翌年の5月分までの住民税を退職月の給与または退職金から一括納税してもらうこともできます。

1月1日~5月31日に退職した場合

退職者からの希望がなくても、退職月の給与から5月分までの住民税が一括で徴収されます。よって退職した月の給与額は大きく減ってしまいます。

さらに、退職した月の給与、または退職金の金額が徴収される住民税の金額よりも少ないときは、普通徴収に変更し、自治体が送付する納税通知書で納付することになります。

雇用保険(失業保険)

次に雇用保険について述べます。

退職後の生活を維持するためにも、その受給資格や手続きを把握することは重要ですね。

受給資格

離職前2年間に被保険者期間が12か月以上あること

ただし、倒産・解雇等の理由により離職した場合、期間の定めのある労働契約が更新されなかったことその他やむを得ない理由により離職した場合は、要件が緩和され、離職前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あること、が必要となります。

失業状態にあること

失業保険ですから当たり前ではありますが、思いがけず、この失業状態に当てはまらない、ということもあるので注意が必要です。

具体的には、①積極的に就職しようとする意思があること、②いつでも就職できる能力(健康状態・環境など)があること③積極的に仕事を探しているにもかかわらず、現在職業に就いていないこと、が必要とされます。

受給資格が認められない場合

従って、退職者が、妊娠、出産、育児や病気、ケガですぐに就職できない場合や、家事や学業に専念して就職するつもりがない場合、自営業などの場合には、失業状態とはいえず、受給資格はありません。私も、退職後は就職活動をせず、投資収入やフリーランスで生計を立てているため、受給しておりません。要は、「雇用」保険ですから、雇用される意思・活動を前提とする制度だということですね。

なお、注意を要するのは公務員です。公務員は雇用保険の適用除外であるため、失業手当は受けられません(ハローワークでの求職は可能です)。私は、10年ほど前に公務員を退職しましたが、こうしたことから失業保険は受給しておりません。

受給期間

自己都合による退職者(一般受給資格者)

被保険者期間の期間が10年未満:90日

10年以上20年未満:120日

20年以上:150日

となっています。

会社都合による退職者(特定給資格者)

被保険者期間の期間が1年未満:90日

1年以上~5年未満:年齢に応じ90~180日

5年以上10年未満:年齢に応じ120~240日

10年以上20年未満:年齢に応じ180~270日

20年以上:年齢に応じ240~330日

となっています。

65歳以上の離職者(高年齢求職者給付金)

被保険者期間の期間が1年未満:30日

1年以上:50日

となっています。なお、この給付金は一時金で支給されます。

手続き

ハローワークに離職票と個人番号確認書類(マイナンバーカード等)、本人確認書類等を持参し、求職の申し込みを行います。

ハローワークで受給資格の決定がされたら、以後、4週間ごとに失業の認定(失業状態にあることの確認)を実施します。

その他(開業届、青色申告承認申請)

最後に、これまで紹介してきた手続きに当てはまらない手続き、税務署に対する開業届、青色申告承認申請について説明します。

これらは、退職後に、自営やフリーランスになる場合に必要となる手続きで、会社等に勤務する場合には不要です。

開業届

「個人事業の開業・廃業等届出書 」を作成して居住地の税務署に提出します。開業後1か月以内に提出することとされていますが、これを過ぎても提出可能です。

開業届を提出するのは、次で説明する、青色申告の承認申請をするために必要だからです。

届出用紙は国税庁のHPでダウンロードできるので、作成して持参、郵送します。また、e-taxを利用できる方は、ひな形をe-taxソフトにダウンロードして、作成・送信することもできます。

※ e-taxソフト自体には必要な書式のひな型が入っておらず、必要な書式は税目(所得税など)ごとにインストールする必要があります。

青色申告承認申請

「青色申告」とは、確定申告の方式の一つで、あらかじめ申請の承認を受けておくと、最大で65万円もの特別控除を受けることができるという、大きな利点があります。それ以外にも、身内に支払う給料を経費にできる、赤字を3年間繰り越せるなどの利点があるので、使わない手はないでしょう。

なお、青色申告承認申請をしない場合、「白色申告」で確定申告をすることになります。帳簿作成が簡単というメリットはあるものの、特別控除を受けることができないため、お勧めできません。

青色申告の条件としては、上記の開業届とともに青色申告承認申請書を提出することが必要で、さらに、最大65万円の控除を得るためには、青色申告承認申請書の簿記方式の欄で、複式簿記を選択すること、および電子申告をすることが必要です。

なお、私の場合、収入の多くは株取引の譲渡益や配当なので、株式などを取引きした際の譲渡益や配当に掛かる税金(税率は20.315%)は証券会社の特定口座から勝手に徴収されるのですが、フリーランスや自営業による収益が中心の方にとっては、このような節税対策は必須となるでしょう。私も、小難しい税金の知識を勉強すべく、

「お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!」

を読んで勉強しました。お手軽に読める本で、お勧めです。

会社を辞めてしまうと、住民税を全額払うとか、確定申告必須とか、いろいろと面倒なことが多くなります。私も、退職した今、それを思い知らされております。
しかし、通勤は不要で、上司や同僚、部下への気遣いも不要という、ストレスのない生活は、それらに勝るメリットです。この記事を読んでいただいている方の第2の人生に、記事が少しでも貢献できれば幸いです。

 

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