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ワイヤレスゲート(9419 東証1部)

今回は、私が2010年頃に購入したものの、2020年に損切したワイヤレスゲートの紹介です。

1.ビジネスモデル

同社は、ヨドバシカメラを販売窓口として、WiMAX、Wi-Fiの提供を行っています。いわゆるB to Cの取引を中心とする業態ですが、一方、B to Bにも近年は力を入れており、子会社(株式会社LTE-X)のもつ、LTE-Xという技術(セキュアで高速/大容量なIoT プラットフォーム)の企業への導入事業に注力しており、具体的には、リモートワークやICT教育事業への導入を企図しています。とはいえ、2020年5月の四半期報告書によれば、B to B事業の売り上げは、全体の1.6%程度です。

同社は、2012年の上場後、ヨバシカメラという販路があることも評価され、2014年7月には株価が6000円を超えたこともあります。

しかしその後、WiMAX等の事業がレッドオーシャン化し、同社製品の他社に対する優位性も見られず、株価は右肩下がりとなっていきます。

さらに、2018年5月のIRで、ヨドバシカメラへの販売委託について、2018年7月1日から5年間の売り場使用料8億円を支払う、との契約が締結されたとのアナウンスがありました。これは、当時の営業利益の9割程度に当たる金額であり、結果、同社の利益も激減しました。加えて、持分法適用会社であるフォン・ジャパン株式会社の、のれん代の特別損失計上もあり、2018年は20億以上の赤字に転落し、2019年にようやく黒字化しました。

これを受けて、もともと下げ基調だった株価がさらに急落。2018年末には400円台を付け、逆テンバガー達成銘柄となりました。

このように、B to C事業のレッドオーシャン化に加え、今後、ヨドバシカメラに多額の売り場使用料を支払うことで成長を見いだせなくなったことから、子会社によるB to B事業の拡大を図っている、というのが同社の現在の立ち位置となります。

2.業績・株価

2012年の上場から2016年までは、売り上げ、利益ともに成長していましたが、しかし、その後は売り上げは横ばいないし若干の減少となっています。

利益は、先にも触れたとおり、ヨドバシカメラへの多額の売り場使用料の支払いや、のれん代の特別損失計上もあって、2018年に赤字転落、2019年は黒字となるも、2016年の6分の1以下という惨状でした。

これを受けて、株価は以下のような推移です。逆テンバガーに至る経緯を表示するため、長期のチャートとなっております。

3.同社株の今後の展望(と愚痴)

同社の事業の収益性ですが、B to C事業による収益の伸びは期待薄でしょう。B to B事業を担うLTE-X社の今後の業績次第と思われます。同社は、リモートワーク、ICT教育、ローカル5Gといった、旬のテーマに絡んでおり、思惑買いによる株価上昇が期待できるかもしれませんね。

実際、株価は、コロナショック時の347円から、2020年7月25日現在、830円と倍以上に上昇しています。今後の決算で、B to B事業の進展による収益の改善が確認できれば、早い段階で1000円を超えることも期待できそうです。

冒頭にも書いたとおり、私はここを2010年ごろに、1100円程度で買いました。その後、6000円超まで上昇し、そこで売れば爆益だったのですが、この銘柄は1万円を超える!と根拠もなく夢想した結果、逆テンバガーに至るまで手放さないどころか、難平(ナンピン。買値より下がった株をさらに買い増すこと。)してしまい、損失をさらに膨らませた挙句、今年、損切りしました。私の日本株のパフォーマンスがさえない(2020年7月25日現在、トータルで若干のプラス)のは、この銘柄の損失によるところ大です。

そんなことから、この銘柄はほとんど損切りしたものの、1単位だけ保有しています。1つは、旬のテーマに絡むB to B事業の進捗に期待して監視するため、今1つは、欲をかいて早めの損切りができなかった自分への戒めのため…

 

 

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