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ハワード・マークス著「投資で一番大切な20の教え」

今回、ご紹介する書籍は、私のスタンスとは異なりますが、バリュー投資というスタンスに立つ投資関連書籍として著名な作品です。

1.著者について

著者のハワード・マークスは、世界最大規模の資産運用会社オークツリー・キャピタル・マネジメント会長兼創業者です。資産運用会社のトップが著した投資本というだけでも価値がありますね。

同書は、著者の投資スタンスが20の章に分けて記載されており、一つ一つは読むのにそれほど時間はかからず、読みやすいといえます。

2.同書の投資スタンス

①バリュー投資

同書は、証券の現在の本質的価値を推計し、株価がこれを下回った時に買うべきとし、市場の暴落時は絶好の投資機会とします。前に紹介した、ミネルヴィニの成長株投資法」とは真逆のスタンスですね。安い時に買うべし…分かりやすいです。

②逆張り肯定

そして、①からの帰結として、他の投資家が投げ売って株価が下がった銘柄を仕込む「逆張り」を推奨します。投資の格言に、落ちるナイフは掴むな、というのがありますが、あえて、落ちるナイフを掴みに行くスタンスですね。著者は本の中で、「一つ確信を持って言えるのは、ナイフが床に落ち、混乱がおさまり、不透明感が消えるころには、超お買い得品は全く残っていないということだ。」と述べています。

③ファンダメンタル重視

これも①からの帰結ですが、実物資産やキャッシュフローなど目に見える要素を重視し、チャートによるテクニカル分析は行いません。

④ディフェンシブ投資

そして、同書の目指す投資戦略は、マイナス要素を避けることによって、より高いリターンを上げる、というものです。著者はこれを野球に例え、ホームランは少なくとも、三振や併殺による攻撃終了は少なくなる、としています。

3.同書の投資手法の再現性

同書の基本スタンスである「証券の現在の本質的価値を推計し、株価がこれを下回った時に買うべき」というのは全くの正論ではあります。ただ、私がこれを実践するのは無理だと感じました。それは、その株価が、その会社の本質的価値に照らして安いかどうかをどうやって判断するのか、という肝心の部分が同書では触れられていないからです。

もちろん、単にPER(株価収益率=株価÷一株当たり利益)が低い銘柄を買えばよいというものでもないでしょうし、低PERの銘柄を買った結果、却って損失が増えかねない、ということは、多くの投資関連書籍でも指摘されています。「証券の現在の本質的価値の推計」のノウハウは、著者がトップを務めるオークツリーの秘中の秘ということになるのでしょうね。

4.同書のキモ

実際、著者は、本書について、投資のハウツー本、マニュアル本ではなく、投資に際しての思考方法を書いたものである旨述べています。

その一つに、相場は振り子にように、強気と弱気、過大評価と過小評価を繰り返し、その都度、多くの投資家が熱狂的な買い手になったり、恐怖に震える売り手になる。こういうときに、その銘柄の株価が本質的な価値から乖離しているかを察知する能力が必要であり、また、皆の言動を懐疑的な目で見ることが必要だ、としています。

銘柄の本質的価値は見抜けなくとも、こうした懐疑的というか、俯瞰的な視点は必要でしょうね。私はグロース株投資が好みですが、この手の銘柄にありがちな、短期的な株価上昇の熱狂に巻き込まれないよう自制したいところです。

同書の、このような投資に際しての思考方法、心構えといった部分は、バリュー投資家のみならず、グロース株投資家にとっても大いに有用だと考えられます。


 

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