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ワークマン (7564 東証ジャスダック)

新業態「ワークマンプラス」誕生後の株価等の経緯

今回は、先日の書評(酒井大輔 著「ワークマンはなぜ2倍売れたのか」)で取り上げたワークマンの分析記事となります。当記事においても、かなりの部分が同書を参考としたものとなっております。

同社は、1980年に群馬県伊勢崎市に1号店を立ち上げて以来、職人の作業服の専門店として存在感を発揮してきました。

転機となったのは、2012年に同社CEOに就任した土屋哲雄氏が、2018年に新業態の「ワークマンプラス」を立ち上げ、一般の人向けのカジュアルな商品を自社のPBで開発し、従来の職人に加え、一般の顧客も主要顧客に取り込んだことです。

新業態立ち上げの詳細は先の書評に譲りますが、ワークマンプラスの誕生前の2018年3月期と、その後の2020年3月期を比較すると、売り上げが416億円から923億円、営業利益が106億円から191億円、純利益が78億円から133億円と、いずれも倍近く伸びています。

株価もこれを受けて、2018年3月期の2473円から、2020年3月期は5940円となり、さらに2020年8月14日現在は9660円と、ほぼ4倍になっています。

加えて、2020年8月11日に同社の発表した2021年度3月期第1四半期決算も、前年同期比で売り上げ24.7%増、営業利益30.5%増、経常利益28.9%増、四半期純利益30.4%増で、四半期EPS50円98銭、という、コロナ禍の影響を全く感じさせない素晴らしい決算内容でした。

同社の各指標について

株価収益率(PER)

上記の株価急騰を受けて、2020年8月14日現在の同社のPERは50.7倍まで上昇しています。これは、同日付の日経平均PERの22.08倍に比べてかなり高いといえます。

しかし、同社の土屋CEOは、同社の店舗数(2020年6月の有価証券報告書では868店)について、1500~2000店まで伸ばす能力がある、と述べているところ、店舗数の増加に比例して売り上げや利益が伸びると仮定した場合、1500店ではPER34倍、2000店ではPER25倍まで下がることとなります。

しかし、同CEOは、国内に空白地がまだまだあるので、海外に出る必要はない、とも述べていることから、海外展開で売り上げ等が大いに増える、ということはなさそうです。

利回り

一方、同社の配当予定額は50円であることから、配当利回りは0.5%となります。これはいかにも少ないですね。

自己資本利益率及び財務状況

ただ、同社の自己資本利益率(ROE)は17.2%と10%を超え、かつ、自己資本比率は80.9%と非常に優秀であることから、保有するにあたり、安心感のある銘柄であるといえます。

さらに、同社の利益剰余金は、2018年3月期の565億円から、2020年3月期は743億円と大幅に伸びており、株主還元の余地は極めて大きいといえます。

総評

同社の現在のPERは少々高いといえます。が、直近の決算を見ても業績は伸び続けていること、日本国内での成長期待はまだあること、ROEも財務状況も優秀であることからすれば、魅力的な銘柄であることは間違いありません。

ネックは、配当利回りの低さですが、同社が、多額の利益剰余金を利用して、配当額の増額(増配)や自社株買い等の株主還元に注力したり、また、株価が約1万円まで上昇した同社株を分割するようなことがあれば、まだまだ株価上昇の余地はあると考えます。

私は、同社の株式は保有しておりませんが、同社の株主還元策の進捗に重点を置いて監視を続けるつもりです。

 

 

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