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高橋ダン 著「お金の増やし方」

著者について

今回は、私もお気に入りに登録している投資系YouTuberの高橋ダン氏の著作です。

同氏は、日本で生まれ、子供時代を日本ですごした後、ニューヨークでの投資銀行勤務を経てヘッジファンド立ち上げ、それを売却、世界を旅したのち、2019年より日本に在住しており、2020年1月よりユーチューブで投資系の動画の投稿を開始しています。投資系YouTuberとしては有名なので、このブログに訪問された方なら、一度は目にしているかもしれませんね。

本書の特徴

本書は8つのチャプターに分かれており、最初の2つ(①マインド ②投資の基本)は総論的内容、後の6つ(③ポートフォリオ ④短期投資 ⑤コモディティ ⑥不動産 ⑦経済 ⑧習慣)は各論的な内容となっています。そして、各チャプターは、さらに、複数のトピックごとに分かれています。この各トピックは、多くが見開き2ページ程度の量のため、容易に読み進めることができます。

なお、上記の各チャプター名だけでも推測できるかと思いますが、個別の株の銘柄の選び方などには一切言及していません(そもそも、著者は個別株には投資していないとのことです。)。それなら、株投資ブログで紹介する意味があるの?と言われそうですが、まずは、本書にどんなことが記載されているのか、その概略を見てみましょう。

チャプター1:マインド

著者の経験に裏打ちされた投資姿勢、ないし生き方が述べられています。特に、日本人に特徴的な、自己の過小評価(自信のなさ)、転職に消極的なこと、周囲に合わせる傾向、に着目し、自信を持つためになすべきこと、自分のゴール(実現したいたいこと)のための転職をためらわないこと、他の人と逆のことを行うことを推奨する「逆戦略の勧め」、など、示唆に富む内容となっています。

また、著者がYouTubeで頻繁に紹介している「ライオン戦略」についても触れられています。これは、普段は昼寝ばかりしていてでも、ここぞというときには猛然と狩りをするライオンを引き合いに、戦うべき時にのみ戦う、具体的には、同じことを何度も自問自答して悩んだりしない、暴落時には手を出さない、といった行動指針です。

そういえば、コロナ禍による株式市場の大暴落時、著者はYouTubeで、「Do Nothing」(何もするな)と何度も述べていました。これもライオン戦略の現れですね。

チャプター2:投資の基本

分散投資の勧め(少しずつ買うことによる時間的な分散、投資対象国などの地域的な分散、投資対象となる金融資産の種類の分散)など、一般的に言われるもののほか、著者がYouTubeでも述べている、投資資金を長期と短期に分けること(長期7~9割、短期1~3割)などについても記載されています。投資資金の長期・短期の区分けは、著者が動画でもかなり強調している点ですが、私のような資金のない弱小投資家がこれを実践するのは難しいので、iDeCoによる投資をしつつ、個別株などの金融資産に多くを振り分ける、という戦略を実行中です。長期投資は、iDeCoに加え、積み立てNISAを使うとより充実しそうですね(私はやっていませんが)。

また、大きな投資戦略のみならず、取引した金融資産について売買の理由を記録する、といった、誰でもできそうな細かな方法論もあり、参考になります。

チャプター3:ポートフォリオ

チャプター3以降は各論的な内容になります。

チャプター3でいうポートフォリオとは、チャプター2の、投資資金の長期・短期の区分け戦略における、長期投資に関するポートフォリオを指しているようです。具体的には、①株式・社債・不動産(4~6割)、②国債・現金(1~3割)、③コモディティ(金など貴金属、ビットコイン、その他資源など)(2~4割)、を、コストの安いETFで保持することを勧めています。

現金を除けば株がほとんどで、他にはわずかなビットコインと自宅用不動産を保持するだけの私にとっては、資源や貴金属、社債にまで手を出すのは難しいですが、株オンリーという近視眼的な視点から離れ、大所高所から自分の資産構成を考えるという視点は示唆に富むものでした。

チャプター4:短期投資

このチャプターでは、著者がYouTubeでもしばしば使用している、チャート分析による投資について説明しています。具体的には、順張り投資の勧めや、各種指標(MACD,ボリンジャーバンド、ストキャスティクス、RSIなど)について触れられています。

チャプター5:コモディティ

ここでは、金、銀、プラチナ、ビットコイン、原油に言及されています。特に金にページを割いて、その有望性を強調しています。金やビットコインはともかく、銀やプラチナにまで通じている投資家は多くないと思われますので、ポートフォリオに組み入れないとしても、本書で概要を学んでおくのは有益でしょう。

なお、原油価格については、2020年4月20日、WTI原油先物価格が史上初めてマイナスとなり、仰天したのは記憶に新しいところですね。これは、原油需要が減りすぎて保管コストの方が高まったため、「金払うからもってけドロボー」状態になったということのようです。

チャプター6:不動産

このチャプターでは、株と不動産価格変動の相関性や、戸建ての勧めについて触れられています。また、投資目的ではなく、マイホームとして不動産を購入する場合でも、投資として考えて、東京など人口密度の高いエリアの住宅を、現在の低い水準の固定金利で購入するのが良いと述べています。これは、著者が、世界的に見ても人口密度の高い、日本の都市部の不動産は、人口減少が予想される将来も資産価値が低下しにくいとみているためです。特徴的な視点で参考になります。

チャプター7:経済

このチャプターは今までと毛色が違い、個別の金融資産の説明や運用戦略ではなく、利下げと株価の関係性、金融緩和の影響、各種経済指標の説明とその有用性など、より大きな視点からの経済情勢の分析の仕方を説明しています。基本的ではありますが、自分の投資を、近視眼的な投機にしないために有用な内容となっています。

チャプター8:習慣

最後のチャプターでは、投資に役に立つ習慣について触れられています。半分以上が英語情報の有用性と活用法についての記述であるのは、アメリカでプロとして投資に携わってきた著者ならではですね。その他、世界の成功者が週末にしていること、や、ストレスを上げないために避けるべき行動、など興味深いトピックについての記述があります。

総評

本書は、冒頭にも述べたとおり、個別株投資には言及しておらず、株式投資のハウツー本でもありません。しかし、株式と他の金融資産との相関性や、株式市場の寄って立つ経済そのものへの言及など、日本経済や世界経済を大づかみに俯瞰し、今後の投資戦略を大きな視点から練るのに役に立つ内容となっています。

一方、著者の細かな投資姿勢も参考になるもの多が多々あります。例えば、チャプター2にあった個別株やETFの売買の理由を記録することなどは、簡単なことであるにもかかわらず、自分がやってなかったことでもあり、今後は是非やってみたいところです。

このように、本書は、株式投資に特化した内容ではありませんが、株式投資家にも有用な本だと思い、今回紹介しました。参考になれば幸いです。

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